こんにちは、中野です。
いよいよ春到来、暖かいを通り越して暑い日も多くなってきました。世界では相変わらず色々なことがありますが、それでも季節の移ろいは確実にその営みを続けていることに尊厳を感じます。
今回は、飲食業界では半ば当たり前になっている独立について思っていることをお伝えしたいと思います。飲食業界で働く人、働こうと思っている人の多くは、「いつかは自分の店を」という思いをお持ちだと思います。
このこと自体は、とても大切なことです。一国一城の主(あるじ)になることは尊い夢であり、特に男性の場合はそんな野心も成長には欠かせません。
事実、磯一グループ各店にも将来の夢を抱きながら自分を磨き続けている人がたくさんいます。そして、これまでに何人もその夢をかなえて自分の店のオーナーになった人もいます。
これから、その世界を志している人に私の視点からお伝えしたいことがあります。
こういう話をすると、お伝えしたいことが多すぎて1回では書ききれないと思いますので、2回に分けます。
今回は自分の成長に必要なものについてです。次回は、そんな自分をサポートしてくれる人の必要性です。
私はよく、「しごと」という言葉に「志事」と「死事」という漢字をあてて表現しています。モロにそのタイトルの本も作りました。この両者に大きな違いがあるのは漢字のニュアンスからもお分かりだと思いますが、怖いのは見た目の違いが分かりづらいことです。
毎日の仕事に一生懸命取り組んでいるように見えても、その中身によって志事と死事に大きく分かれてしまうのですから、本当に厄介です。
私は以前、寿司職人をしていました。寿司職人が覚えるべきことはたくさんあるので、それを覚えるために毎日一生懸命働きました。目的はもちろん、自分の店を持つためです。本の中でも述べていますが、社長になるというシンプルな夢を持っていました。
そして念願かなって寿司店を任せてもらえたのですが、これが大失敗でした。毎日頑張っているつもりでしたが、寿司を握る技術的な部分にばかり目がいってしまい、目の前にいるお客様のことを考えられていなかったのです。
しかも、一緒に働いている仲間を信頼できていませんでした。そんな店が流行るはずもなく、結果は大失敗です。私の頑張りは死事となってしまったのでした。
では何が志事なのかというのは、このブログでも何度も述べてきています。磯一グループのホームページにもその記載があるので、参照してみてください。大切なのは人を相手に商売をしていること、人と一緒に働いていることを認識することです。
プロダクトアウト、マーケットインというマーケティング用語があります。前者は「良いものを作っていれば売れる」という考え方で、後者は「消費者の選好を知り、それに応えるものを作る」というものです。発想のスタート地点が全くの逆で、どちらが売れるかは言うまでもありません。飲食店であれば、これはなおさらです。
将来の自分のために飲食店で頑張っている方、これから頑張ろうと思っている方は、ぜひともこのマーケットインの思考を持ち続けてください。
どうやったら喜んでもらえるか、また会いたいと思ってもらえるか、また来たいと思ってもらえるか、それを考え続けることでしか、志事の答えは出ません。