東京チカラめしという牛丼チェーンが示しているもの

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こんにちは、中野です。

ここ最近は人出不足、人材不足が企業にとって大きな課題になりつつあります。

新しく事業を拡大しようにも人がいないという声は飲食業界でも当たり前のように聞かれますので、磯一グループも決して他人事ではありません。

そんな外食産業と人の問題について、ある外食チェーンに象徴的な出来事が起きました。

その外食チェーンとは、「東京チカラめし」という牛丼屋さんです。大阪にいくつか店舗があるので、見たことや食べたことがあるという方もおられると思います。

しかしこの東京チカラめし、一時期はどんどん店舗が拡大していたのに、最近は見かけなくなったという印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

それもそのはず、急拡大路線を突き進んでいた東京チカラめしはその後失速してしまい、現在は店舗を縮小中です。

いったい、東京チカラめしに何が起きたのでしょうか。その答えとなるのが、「人」の問題です。急拡大したせいで人材の育成が追いついておらず、店舗によってサービスにばらつきが生じてしまい、お客さんを減らしてしまったのです。

ここで注目したいのは、外食チェーンなのに食べ物の味や質、さらには食中毒などの不祥事が理由ではないということです。人の質と量を確保できなかったために、せっかく拡大した店舗網を縮小せざるを得なくなってしまったわけです。これはとてももったいないと思ってしまいますが、実は外食産業の本質的な問題でもあります。

「人さえいればうまくいった」と言ってしまうのは簡単ですが、その「人」を質・量ともに確保することがどれだけ難しいかは、飲食業を営んでいる方であれば痛いほど理解されているはずです。

東京チカラめしが店舗の縮小を余儀なくされたのは、「人がいなかっただけ」なのではなく、「人を育てることができなかった」という致命的な理由があったということです。

これとよく比較されるのが、大手牛丼チェーン各社です。吉野家やすき家などのお店に入ると、最近は外国人の店員がとても多いことに気づきます。中国やベトナム、さらにはインドなど国もさまざま。

言葉の問題も何のその、彼らはちゃんと店を回しています。

なぜこんなことができているのかというと、そこには店舗運営のオペレーションがあります。業務がしっかりマニュアル化されており、サービスの品質管理が徹底されているので、誰がやっても、どこの店舗であっても、同じサービスを提供できるのです。この両チェーンは今も店舗網を拡大していますが、それによってサービスの質が低下したという話は聞きません。オペレーションの確立により、十分な質と量を確保できているからです。

日本語が不慣れな人も少なからずいますが、それでもクレームにならないのは、お客さんにとって必要なことはちゃんとやってくれているからです。

これから外食産業はさらに人手不足が深刻になると思われます。そんな時代に必要なのは、人の育成と人の使い方だということですね。

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