大いなる志事が実現した「MRJ」 その2

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MRJ 志事
こんにちは、中野です。
先日に続いて、日本全体が取り組んだ大いなる志事の成果「MRJ」について語ってみたいと思います。

前回はYS-11の話で終わっていたので、その続きです。
現在、世界中を飛んでいるジェット機を製造しているメーカーは大きく分けて4つあります。
大型ジェット機はアメリカのボーイング社と、ヨーロッパのエアバス社。どちらもおなじみで、私たちも日常的に利用している飛行機です。
そしてリージョナルジェットといって近距離向けの小型機はカナダのボンバルディア社とブラジルのエンブラエル社が市場を2分しています。
このたび、日本のMRJが狙っているのはこの小型ジェット機市場です。
MRJという名前もミツビシ・リージョナル・ジェットの略です。

これまで日本の各メーカーがボーイング社やエアバス社、さらにはボンバルディア社やエンブラエル社に部品を供給してきており、そこで確実に技術を蓄積してきました。
そして、「いつかはこの技術を結集して日本でジェット機を作る」という夢を育ててきたわけです。
この思いこそ志事そのもので、その夢に向かって努力をしてきたオール・ジャパンは志事集団です。

MRJは構想からすでに10年以上が経過していて、その構想段階ではまだ実現することに半信半疑だった人も多かったはずです。
日本でもそうだったのですから、諸外国から見ても「まさか無理だろう」と思っていたのです。
しかし、大空を飛ぶMRJの姿に夢を抱いた技術者たちの挑戦は続きました。そして、もうひとつの志事集団である営業部隊も奮闘します。
MRJという素晴らしい飛行機を作ったところで、売れなければ意味がありません。世界市場に打って出て、そこに割って入ろうというのですから、「こんなに良い飛行機が誕生します」と、まだ完成していない文字通りの“紙飛行機”の状態でセールスを展開しました。

最初に手を上げたのは、日本の全日空でした。
新しく開発される飛行機の初顧客となって開発段階から関与するクライアントのことをローンチカスタマーと言いますが、ボーイング787に続いてMRJでも全日空はローンチカスタマーとなることを選択しました。
これにより、MRJの初納品先は全日空であることが確定しています。

飛行機は400機以上売れないと採算に乗らないそうです。
まだ設計段階の飛行機がどれだけ売れるのかと思ったら・・・その後のセールスが実ったのか世界各国から受注が入って、すでに350機もの受注を得ているというではありませんか!
それだけ日本の技術力に対する期待や信頼が高いことも、同時に証明されました。

そんな中で行われた、先日の初飛行。
日本人技術者たちの夢を乗せて堂々と大空を飛んだMRJの姿には、涙した人もいましたね。
このストーリーを知った上で初飛行を見た人の中にも、同じような思いを抱いた人も多かったと思います。私もそうでした。

決して夢を諦めず、世界と勝負したい。
日本製の飛行機が世界の空を飛ぶ日を実現させたい。
そのために必要なことに全力で取り組む。
MRJに関わった誰もがその思いを共有して取り組んだ結果が、いよいよ現実のものとなったのです。

素晴らしい感動を与えてもらったことに、大いに尊敬と感謝の念を伝えたいと思います。

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