こんにちは、中野です。
前回はRPAによる事務作業の自動化がもたらす未来について語ってみましたが、今回はその飲食業界版です。
実際にその現場を目撃してきた人の話を交えて、未来を展望してみたいと思います。
世界中に店舗があるファストフードチェーンのマクドナルド。
それぞれの国の特徴はあるものの、世界中どこに行っても、あのロゴマークを見ることができます。そして食べられるメニューもおおむね同じで、ハンバーガーを食べたい、コーヒーを飲みたい、ちょっと休憩したいという人たちのニーズに応えて世界を席捲しています。
日本のマクドナルドを想像してみると、そこにはレジカウンターがあって店員がいます。店員に注文を伝えるとそれがカウンター越しに提供され、自分で席に運んで食べるというスタイルです。
これがどこも同じかというと、実はそうではありません。
その違いがよく表れている、香港のマクドナルドはどういうスタイルなのでしょうか。
香港のマクドナルドにも店員はいますが、彼らは出来上がった商品を渡すだけです。
注文は店内に置かれているタッチパネルで行います。タッチパネルを操作して好きなものを選び、注文品がすべて揃った時点で確定ボタンをタッチし、後は電子マネーのカードをかざして支払い完了です。
香港ではMTRという地下鉄で使うオクトパスというカードが普及しており、それがコンビニやマクドナルドといった色々なところで決済に使えるようになっています。関西でいうICOCAカードやPiTaPaカードを使って買い物をするようなイメージです。すでにそういうことが可能になってきていますが、香港ではオクトパスがあればほとんどの決済が完了してしまいます。
この方法には、実にたくさんのメリットがあります。
客自身がタッチパネルで選ぶのでミスがありませんし、仮にミスをしたとしても客自身の注文ミスなので店が責任を取る必要がありません。また、店員が現金を触ることがないので、とても衛生的です。
そしてもっとも大きなメリットが、人件費の大幅削減です。注文を取ることやお金の受け渡しをするという工数がなくなるだけで、かなりの削減効果が見込めるでしょう。スピードアップも期待できるので、時間効率がアップします。
客にとっても店員の前で注文のと違って後ろから急かされるようなプレッシャーもなく(店内にはたくさんの注文端末があるため)、本当にメリットしかない仕組みです。
もはやマクドナルドでは人が注文を取る時代が終わっているということです。
そもそもファストフード店で店員とのコミュニケーションを楽しもうという人はほとんどいないので、自動化されたほうが気楽でいいと感じる人のほうが多いでしょう。
これがすべての業態に波及するかというと、そうではありませんが、人手不足の解消や人件費削減というメリットがある以上、外食産業にもこの流れは確実に波及するでしょう。
そうなった時に残る価値は何かというと、やはり「人」としての価値です。
「あれを食べたい」というだけであれば香港のマクドナルドとまったく同じ仕組みで良いかも知れませんが、「あの人に会いに行きたい」となると、自動化は不可能です。
磯一グループの業態は後者に近いものですが、だからといってこれまで通りでOKと安住してしまうのではなく、常に店の魅力、人の魅力を提供できる居酒屋でありたいと改めて思いました。