こんにちは、中野です。
まだまだ暑い日が続いていますが、皆さん元気にお過ごしでしょうか。
先日、長期にわたって海外を旅してきた人に興味深い話を聞きました。そして、それに関する考えを書いてみたいと思います。
その人はさまざまな国を旅する中で、カンボジアのアンコールワットにも訪問したそうです。アンコールワットというと古代クメール文明の傑作とも言われる古代遺跡で、その緻密な設計やそれが今にも機能していることが世界から高い関心を呼び、一大観光地となっています。
ここまでは、ご存知の方も多いと思います。私が初耳だったのは、ここから先です。
アンコールワットはカンボジアとしても国の財産としてかなり大切にしています。国旗にもアンコールワットがあしらわれているほどの財産なんですが、なんとつい最近までこのアンコールワットを維持管理していたのは隣国のベトナムだったそうです。
何で???と思いますよね。
その理由は、カンボジアにアンコールワットほど重要かつ緻密な設計になっている建築物を管理する能力がないということだそうです。いわゆる人材不足です。
そこにはさらに恐ろしい理由があります。
カンボジアはほんの数十年前まで、ポル・ポト派と呼ばれる勢力が国を支配しており、その時代に国民の大虐殺がありました。原始時代のような共産主義の社会が正しいという思想だったので、知識人や教育を受けた人などを片っ端から処刑していった結果、残ったのはまったく教育がない人や子供だけでした。国民の3分の1にあたる300万人をそんな理由で虐殺したのですから、その恐ろしさが伝わってきます。
そんなポル・ポト政権が終わりと告げ、今はまだ変化の途上にあるとはいえポル・ポト政権よりはまともな政権となっていてめでたし、めでたし・・・とならないのが、この話の本題です。
政治は正常な状態に戻ったとはいえ、知識人や学のある人たちを片っ端から虐殺してまったく教育を受けていない人だけが残ったカンボジアは、世界有数の「ノウハウのない国」になってしまったのです。
教育というのは一度崩壊すると立て直すのに50年かかるといわれています。カンボジアは教育をまだ本当に取り戻せた状態とはいえず、教育を受けていない人が山のようにいます。
それゆえに、自分たちの国の世界遺産であるアンコールワットを、自分たちで維持管理できないということで、隣国のベトナムに依頼したわけです。
現在はカンボジア自身が管理しているそうですが、日本が皇居や大阪城などを自力で管理できず、中国や韓国に頼むようなものだと思うと、そのすごさがわかります。
やはり教育やノウハウというのは、目に見えないですが大きな財産です。それがあるかないかで国家の存亡にも関わるのですから、企業レベルでもそれはまったく同じです。
人が仕事のしかたを効率よく教わり、自分で考えて実践できる環境というのは企業の発展に欠かせないものでしょう。磯一グループもそれをやることで成長することができたのは間違いないので、これからも教育やノウハウの共有・継承という目に見えにくい取り組みを大切にしたいと思います。