ブラック企業という言葉に思うこと

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こんにちは、中野です。

少し前に言葉が誕生して、今や日本語のひとつとして定着した「ブラック企業」。
「ホワイト企業」という反対語もあって、それぞれ真逆の意味で使われています。

さて、このブラック企業という言葉ですが、どうも私はしっくりと来ていないところがあります。なぜなら、私自身が経験してきた職場は今で言うブラック企業ばかりだったからです。
しかし、当時はそんな言葉はありませんでした。
寿司の板前修業とは、それが当たり前でした。もちろん、今もそういったところはたくさんあります。そういう職場のことをブラック企業だからと言って敬遠する人がいるかも知れませんが、そればかりだと本当に身につけなければならないことがいつまでたっても身につかないのでは?と思います。
確かに、従業員をさんざんこき使った挙句にわずかな給料しか支払わない会社は、働く側から見て魅力もなく、ブラック企業というレッテルを貼られても仕方ないでしょう。そもそもそういう会社は人から搾取するのが目的なのですから。

こういった会社と、これから修行をして一人前になろうとしている人が送っている下積みの生活を一緒にはできないと思うのです。
なぜなら、修行中の人は確かにブラックな労働環境で働いているかも知れませんが、自分の夢をかなえるために必要なことだと分かっていて頑張っているからです。
そんな人に、横から「あなたが働いている職場はブラック企業ですよ」と耳打ちするのは、大きなお世話だと思います。
その人にとっては、どんどん技術を身につけるために必要なことなのかも知れないのですから。

私はよく、事実は1つ、解釈は2つという言葉を口にします。
目の前に起きていること、この場合だとブラック企業だと言われるかも知れないような下積み生活であっても、その人にとっては必要なことだと思って頑張れることかも知れないというのは、2つの解釈が成立しています。
どちらが正しいかではなく、その人にとってどうなのかが大切なのです。

私自身もそうですが、私がこれまで見てきた人の中で成功をしている人というのは、人生のどこかに必ず頑張りどころがあって、その時期にはすごい経験をしていることがほとんどです。いつ寝ていたの?と聞きたくなるような生活をしてきた人もたくさんいます。
しかし、その人たちは口々に同じことを言います。「あの時の経験があるから、今がある」と。
これには私も共感できる部分がとても多く、同じことを聞かれたら同じように答えると思います。

他人から見ればブラック企業に見えるかも知れませんが、本人にとってはとても大切な経験をしている真っ最中かも知れないのです。これを、いわゆる本当のブラック企業と一緒にしてしまうのは、あまりにも浅はかだと思います。
しかし、世の中には何でもかんでも労働条件や労働環境が良くないように見えるとブラック企業だ!と糾弾するような風潮があります。ブラック企業という言葉が出てきたことによって、その風潮に拍車が掛かっているようにも思います。
では、そんな人がいう理想的な会社「ホワイト企業」ってどんな会社なのでしょう?

労働条件が良くて、働きがいのある会社。
従業員を大切にしていて、長く勤められる会社。
おおむね、このような定義になるそうです。
確かにこういう会社は良い会社だと思いますが、労働条件の良さ以外は、働き手の受け取り方ひとつではないでしょうか。
板前修業をしている人が昼夜を問わず働いているとして、確かに労働条件は良くないかも知れませんが、その中で頑張っている人を邪険にする職場なんてありません。親方にあたる人や先輩が気を掛けてくれるようになるので、「働きがい」や「従業員を大切にする」といった条件は十分満たしていると思うのです。
そして腕を磨けば長く働ける職場にもなるので、「長く勤められる会社」という条件も満たしているように思います。飲食業の世界は腕を磨いて独立する人が多いので、その意味では独立して経営者になるという夢もあるわけです。
それだけの夢を持っている人なら、下積み時代がしんどいと感じていたとしても、夢の実現に必要なプロセスであるとしたら頑張れるはずです。

結局のところ、今自分が置かれている環境や職場というのは、その人の思いや解釈によってブラックにもホワイトにもなるということです。
磯一グループにも、将来は自分の店を持ちたいという夢を抱いて頑張っている人はたくさんいます。そんな人は、やはり自分で腕を磨くためにどんどん新しいことにチャレンジしています。そのために帰るのが遅くなったりすることもありますが、本人が希望してやっていることなので、こちらもやめなさいとは言えません。
それでもやめなさいというのがホワイト企業だとしたら、それは人の成長を妨げる会社でしかないと思います。頑張りたいと思っている人には思う存分頑張ってもらう、そのための環境を整えてあげる会社こそが、真のホワイト企業ではないでしょうか。

最近の就職活動では学生にとって売り手市場が続いています。
つまり就職先を選びやすい需給関係になっているので、少しでもブラック企業ではないかという噂が立つと人材の募集にかなり苦労させられると聞きます。
しかも今はネットで口コミがあっという間に広がってしまうので、事実無根の嫌がらせのような書き込みですら広がってしまう世の中です。そんな時代だからこそ正しい情報を発信する必要性があるとは思いますが、なかなか難しい世の中です。

このブログも、私自身の思いをできるだけ伝えるために続けています。
どうしても公式発表のような話だけだと本当の思いが伝わりにくいと思うので、ブログという形をとっています。
将来に何か夢を描いている人に、この思いが伝わればいいなぁと思い、ちょっと語らせていただきました。

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