最近、大阪の街を歩いていると、とにかく外国人観光客の姿が多いことに気づきます。
これは大阪だけの現象ではなく、日本全国の各地で同じことが起きています。来日外国人の数が年間で1200万人を超えたということは、日本人の10人に1人に相当する人数が日本に訪れているのですから、あちこちで見かけても不思議ではありません。
それだけ日本に魅力を感じてくれているということでもあります。
これだけたくさんの人が自由に往来する時代なので、グローバルな都市間競争が起きています。
ある観光客が海外旅行を考えた時、日本に行くか?他の国に行くか?という選択で日本に行きたくなるだけの競争力、そして次に大阪に行くか?それとも別の街に行くか?という選択でも大阪が勝っている時にはじめて、大阪に観光客がやって来ます。
こんな競争が世界レベルで起きていて、それが今後の飲食業界にも大きな影響を与えると言われています。
当ブログで以前に香港に行ってきた人のお話をしました。
すでに香港には多数の日系飲食店が進出していて、現地だけでなく香港に訪れる観光客の支持もうまく集めて上々のビジネスを展開しています。
これが成立するのは、香港が国際都市としてすでに高い地位にあって大勢の人が訪れるからです。だからこそ日本の飲食チェーンも投資をして現地にお店を出そうという気になるわけで、それが現地の経済を活性化させます。
このような好循環になっている街は良いのですが、その真逆とも言える都市があります。
それは、フィリピンの首都であるマニラです。
東南アジア諸国の中でも一定の存在感を持つフィリピンですが、その首都となると行った事のある日本人はとても少ないのではないでしょうか。
タイの首都であるバンコクやシンガポール、ベトナムの首都であるホーチミンなどには多くの日本人が訪れています。しかし、マニラとなると急に数が減ります。
これは、なぜでしょうか。
先日香港に行ってきた人がマニラを訪問した時の話をもとに、その理由をお話したいと思います。
最大の理由は、マニラの治安がとても悪いこと。
非合法であるものの銃を簡単に入手できる国なので、街頭犯罪が後を絶ちません。外国人だけでなく現地の人も標的になることがあるので、現地の人も近寄らないような地区がたくさんあります。
この時点で、そういった地区の経済が活性化するとは思えません。夜も安心して歩けるような街だからこそ、たくさんの人が集まって食事をしたりお酒を飲んだりしてお金を使ってくれるのです。
マニラに行った人の話によると、現地でも世界的な飲食チェーンのお店がほとんど見かけないそうです。辛うじてショッピングセンターの中に吉野家があったり、コンビニのミニストップやファミリーマートがチラホラあった程度で、その他に日系企業の姿を見ることはほとんどなかったそうです。
これが何を意味しているのかというと、日系企業はマニラ進出に魅力を感じていないのです。進出したところで現地で難しい商売をさせられた上に、そんなに利益にならないとなるとまともなビジネス感覚なら進出しません。
この人がマニラに行ったのは、2015年の7月です。挙げるとキリがないですが、ストリートチルドレンがうじゃうじゃ寄ってきてお金をせびってきたり、コンビニでドアの開け閉めを勝手にやっている小僧がチップを要求してきたりと、おちおち街も歩けないということでした。マニラの中心繁華街として賑わっているエルミタ地区での話です。
東南アジア諸国の経済成長がどんどん加速しているという時期に、まだこんなことをやっているようでは・・・というのが、この人が思ったマニラの印象だそうです。
もちろん、他のアジア都市でも似たようなことはあると思いますが。
この人が滞在していた期間、他に日本人の姿を1人も見なかったそうです。
そこからでも日本人が寄り付いていない様子が分かりますね。
街を歩いていると日本語表記の看板を見かけることも多々あるそうなのですが、KTVといって日本のキャバクラのようなシステムのお店や、ほとんど売春に近いようなことをやっているお店ばかりだとか。
どんな日本人が寄り付いているかも、同時に分かりますね(笑)
これからのグローバル競争を勝ち抜いていくには、そこに行ってみたくなるという街の魅力がとても大事です。その意味で大阪は現在、とても魅力のある街だと見られています。
その一方でマニラが外国人を寄せ付けない街となってしまっている対比は、今後大きな影響を及ぼすと思います。