現在、バター不足というちょっとしたパニックが起きています。
まだスーパーの店頭から消えるというところまでいっていないので大騒ぎにはなっていませんが、すでに業務用バターについては需給バランスがひっ迫していて、価格が高騰したり手に入りにくくなる状況が起きているそうです。
それを受けて、国は7000トンものバターを緊急輸入することにしたとか。
人間というのは、無いと言われると急に欲しくなるものです。かつてあった石油ショックではトイレットペーパーが不足したことから奪い合いになるようなパニックもありましたが、それと根底にあるものは同じだと思います。
それにしても、どうしてこんなことになってしまったのでしょうか?
最大の理由は、バターの原料である生乳の生産量落ち込みです。牛乳が少なければ、それだけバター生産に回せる分が減るわけです。ではなぜ生乳が減ったのかといいますと、直接の原因は去年の猛暑だとか。国産生乳の多くを生産している北海道でも猛暑となり、そんな気候になれていない牛たちが体力を落として病気になったり、死んでしまったり、仮に元気でも生乳の生産量が落ちたのです。
しかも、今酪農農家が置かれている状況は燃料や飼料の高騰によってとても厳しいものになっており、飼育頭数を減らしたり廃業してしまう人も続出しています。これは磯一が仕入れをしている漁師さんも状況がよく似ていて、燃料が高いせいで満足に漁ができない状況があったり、気候変動のせいで水揚げ量が減ったりしています。
私たちはどうしても、食べ物の生産現場に対する意識が薄くなりがちです。普段当たり前のように食べているバターが、どこで誰にどうやって生産されているのか、そんなことはあまり考えません。しかし、いざ無いとなると興味が出てくる、それが人間です。
さまざまな料理やお菓子などに欠かせないバターも、磯一のメニューに欠かせない魚介類も、全て自然からの恵みです。それがどうやって食卓に上っているのかについてもっと関心を持って、感謝すべきではないでしょうか。
ちなみに生乳の生産料を回復させるには乳牛を増やすしかありませんが、それには早くても2年ほどかかるそうです。構造的な問題が解決されない限り、バター不足の問題はまだ続きそうです。