先日、知人が香港に行って来ました。
香港というと色々なイメージを持っている人がいると思いますが、私たち外食産業に身を置く者から見ると、香港は「食の街」です。香港=中華料理の本場というイメージを持っている人が日本には多いと思いますが、アジア有数の大都市として発展を続けている香港の食は、何も中華圏だけのものではありません。
つい最近行って来たばかりの人に、そんな香港の話を聞くのはとても新鮮でした。
日本にいると、どうしても日本の中心は東京だという意識になって東京にばかり関心を持ってしまいがちですが、視点をもっと広くアジア全体に広げるとまるで違った構図が見えてきます。
アジアの中で日本は地理的に東北の端にあるので、東京も大都会ですが地理的には端にあることになります。
その一方、香港やシンガポールは地理的にアジアの中心に近いので、文字通りアジア中から人やモノ、お金が集まってきます。最近、アジア諸国がどんどん経済成長をしていく中でアジアの中心になりつつある香港やシンガポールがものすごいスピードで発展しているのは、そのためです。
そんな香港なので、今やアジア中から食が集まってくる巨大グルメ都市となっています。もちろん中華もありますが、それ以外の和洋食なんでアリです。
実は香港は大変な日本食好きで、至るところに和食のお店や寿司屋さんがあります。日本のもの=上品で上質なものというイメージが浸透しているので、店構えもいわゆる大衆食堂という感じというより、上品な高級感のあるお店が多いそうです。
もちろん日本でおなじみの庶民的なお店もたくさんあります。
例えば、吉野屋。
知人の話によると街中に店舗があって、かなり流行っているそうです。つまり、吉野屋は香港進出に成功しているわけです。
最近はあまり派手な動きをしなくなりましたが、毎年の初競りに掛けられるマグロを香港の寿司チェーンが高値で入札していることが話題になりました。それに真っ向から競り合っていたのが日本の「すじざんまい」です。両者が譲らなかったせいで初競りのマグロはとんでもない値段になるというのが毎年の風物詩のようになっていましたね。
さすがに今は両者共倒れを防ぐ意味で、この両者が共同で入札をして仲良く分け合っているそうですが。このあたりは、さすが商売人です。
和食が海外でブームになっているというのを、私たちは何となくテレビや新聞などの話題で知っています。しかし、それはアメリカやヨーロッパでの話が多く、アジアでどう評価されているのかについてはあまり話題に上がっていないように思います。
しかし、これからアジアの時代です。世界人口の半分近くがアジア地域に集中して、経済発展が続けば経済の中心もアジアになります。そんな時代の「海外」とは、アジアのことを指す時代がすでに始まっているのです。
この知人は十数年ぶりに香港へ行ったそうですが、前回と今回を比べると同じ街であって同じではないほど変化を感じたのだとか。
磯一グループが海外進出を考えるとしたら、これからは香港やシンガポールなどに目を向けるべきなのかも知れませんね。事実、飲食業関係者の中にも実際にそういう動きを始めている人も少なくありません。